歴史と実績

横浜駅近くでの創業 玉子焼きと日本の復興

玉栄は横浜の南幸(今の横浜駅西側)にて「玉栄商店」創業をいたしました。

昭和32年(西暦1957年)のことです。終戦後の復興ままならぬ時で横浜駅の周辺もまだまだ広く空き地がありました。

玉栄は創業以来、玉子焼き作り一筋。美味しい玉子焼きを作るために情熱を注いで参りました。

5年後には県立平沼高校の隣に場所を移し、有限会社玉栄を設立。さらに昭和47年に株式会社に変更いたしました。

寿司店の増加と商材の多角化

玉子焼きだけをそんなに作って誰に売るの?とよく言われましたが、お客様の大半は寿司店でした。

当社もピーク時には700軒!!ものお寿司屋さんとお取引をさせていただいておりました。そして、その頃は、同業社が県内だけでも大小含めて6社程ありました。それだけお寿司屋さんも多かったということです。

昭和50年代、まだ「宅配寿司」という業態が無かった頃は、お寿司屋さんは大抵の物はお店で作っていました。徐々に出前も多くなり、食材を仕入れて行く事で、スピード・収益アップに繋げて行ける様に、玉栄も玉子焼の他にガリ、干瓢、お吸い物等、お寿司屋さんで取り扱っている商品を仕入れ納めるようになりました。

時を同じくして弊社の体制も大きくなり、横浜市金沢区の鳥浜に工場を作り、その後に本社も移転しました。

転機はバブル崩壊と寿司のチェーン化

個人のお寿司屋さんが隆盛を極めたのがバブル期なら、その後の寿司業界で主役の座を奪ったのは寿司チェーン店です。宅配寿司、回転寿司という業態が増え、スーパーの鮮魚売り場でもパックの寿司が多く並ぶようになりました。

当然、玉栄の玉子焼も時代と共に製品のアイテムも増え、直ぐに使えるカットされた玉子焼(巻芯用・にぎり用)をはじめ、季節の焼印入りの玉子焼など、お客様のニーズにお応えしながら、歩んで来た様に思います。

ハーフサイズ玉子焼き

圧倒的な保存技術の開発

お寿司が大衆化する中で玉栄は保存技術に磨きを掛けました。宅配や持ち帰りが増える中で、以前よりもより食の安全・安心に配慮しなければなりません。

急速加熱・バッチ式フリーザー設備を導入し二年間の試行錯誤を経て、安定した食感と美味しさを維持する技術を導入しました。できあがった玉子焼きを急速冷却で無菌にして長持ちするようパッケージングしたのです。それもなるべく添加物を使わずに実現することができました。

今では30度の気温でも48時間の賞味期間が保てる状態にまで進化しています。本当に玉子と出汁だけで作り、添加物を出来るだけ使わず、しかしながら玉子の風味、美味しさをキープしながらここまでの保存時間数を保てるのは当社の独自技術です。

フルサイズ玉子焼き

中食、消費者変化への対応

核家族化や共働きが増えて玉子焼きのパッケージも変わってきました。最近ではスーパーマーケットのバイヤーさんから言われることは「とにかく小口に」ということです。カット品の玉子焼きも多く提供してきましたが、ハーフサイズという250g品も多く求められるようになりました。

更に一歩、常々私共が目標にして来た事は、一般の消費者の皆様に手にしていただけるような商品を提供して行けたらということでした。
そんな時に金沢観光協会様との関わりの中で玉栄の「ふんわり玉子焼」が、金沢ブランドとして認定をいただきました。皆様にお届け出来る、そんな糸口が見えて来ました。

現在、スーパーの鮮魚売り場や催事での販売と広がり、ハーフサイズの玉子焼、従来の寿司飯に合う甘さの玉子焼に加え、具材を活かした出汁風味の玉子焼にしらす、青のり、鰻を入れた製品等、新しい商品開発も含め、皆様に「おいしい」と喜んでいただける玉子焼を作って行けたらと思っています。

いまでもバラエティーに富んだ味付けの玉子焼きや種類の増加などあらゆるお客様のニーズがありますが、玉栄は常に、美味しくて安全なものを柔軟に提供できるようにしています。

青のり入り玉子焼き

最後は人間。人が作る玉子焼き。

寿司の大衆化に併せて全体的には低価格化が進み、多くあった玉子焼き業者も神奈川県内では玉栄の他、数社だけになりました。低価格化は機械化と同じですので、今では大量の玉子焼きが機械で自動的に生産されています。もちろん機械設備の技術もあがり美味しい玉子焼きも焼けるようになりました。

それでも玉栄では多くの人に愛される玉子焼きを作るために、いまでも当社の製造現場には人が立っています。どうしても人でないとわからない「焼き加減や美味しさの秘訣」があるのです。

そして本当に玉子焼きの美味しさにこだわっている超有名寿司店からのオーダーには人が付きっきりで対応しないとできない物が求められています。

そんなふうにわかってくれる人が在る限り、求めてくれる人が在る限り、玉栄は心のこもった玉子焼きを提供して皆さんの「うまい」と「たのしい」を支えたいと考えています。